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2012年11月22日木曜日

BaaS(Backend as a Service)のプッシュ通知サービス

最近、BaaS(Backend as a Service)っていう言葉をよく聞きます。これは、スマートデバイス(モバイル)アプリケーション向けに、サーバサイド実装の手間を省くため、データベースへの保存・参照、SNSとの連携、プッシュ通知、認証、ファイル保存などの機能を簡単に呼び出すことができるサービスです。(実際はモバイルのみが対象ではないものもあり、本当にモバイル特化の場合は、MBaaSという呼び方をする場合もあるそうです。)これらのサービスにはSDK(開発キット)が提供されておりAPIをコールするだけで呼び出すことができたり、RESTでアクセスする機能が提供されています。
今回は、そのBaaSの中の1つのサービス「プッシュ通知」機能について、各ベンダーごとにどのようなサービスを提供しているのかを見ていきたいと思います。

その前に、プッシュ配信の仕組みについては、ほとんどのベンダーがApple、Google、Microsoftが提供するサービス「APNS(Apple Push Notification Service)」、「GCM(Google Cloud Messaging for Android)」、もしくはMicrosoftの「WNS(Windows Push Notification Service)」をベースに作っています。簡単に言えばラップしているだけのサービスなので、以下のようにBaaSベンダーはプッシュされたメッセージを各ベンダーごとに振り分けるというようなサーバを用意しているというイメージになります。


このことから、以下のページを参考にして、自分で実装することもできます。

ただ、簡単になっていますので、BaaSを使った方が便利ではありますね。

では、各BaaSベンダーのサービスです。

Microsoft Mobile Services
上記でも軽く触れました名前の通りのMicrosoftがAzure上で提供する「Windows Push Notification Service (WNS)」というサービスです。そのため以下のようにWindowsがサポート対象ですが、将来的にはAndroidやiOSにも対応するようです。
・プラットフォーム: Windows Store, Windows Phone
・言語: C#など

ACS(Appcelerator Cloud Services)
モバイル開発ツールで有名な「Titanium Mobile」を作っている会社「Appcelerator」がCocoafishという会社を買収して、ACSという名称で提供しています。
・プラットフォーム: Android or iOS
・言語: JavaScript, REST, AS3, Java for Android

Buddy
ここのサービスは、他とは違いAndroidとiOSに加え、Windows系もサポートしています。内部的には上記のWindows Push Notification Service(WNS)を使っているようです。
・プラットフォーム: Android, iOS, Windows Store, Windows Phone 
・言語: Java, Objective-C, C#

appiaries(国産)
国産のBaaSのようです。ただ、プッシュ配信は、まだ未提供のようです。将来的にはAndroid/iOS対応予定とのこと。

Parse
・プラットフォーム: Android, iOS
・言語: REST, JavaScript, Java for Android, Objective-C for iOS

StackMob

・プラットフォーム: Android, iOS
・言語: Java for Android, Objective-C for iOS, REST
   
Kinvey
http://www.kinvey.com/
・プラットフォーム: Android, iOS
・言語: Java for Android, Objective-C for iOS

その他、ApplicasaQuickbloxSencha.ioなどの有名なBaaSがありますが、あまり変わらなそうなので、とりあえずこれらは未調査。


上記サービスは基本的に、APNS、GCM、WNSをベースに作られていますが、プッシュ配信と言えば、HTML5のWebSocketが有名です。そこで、WebSocketをベースにプッシュ配信サービスを提供しているベンダーを少し挙げてみます。

pusher
PHP, Ruby, JavaScriptなどWebSocket ClientのAPIがあればアクセス可能

Kaazing
http://kaazing.com/
プッシュ通知サービスは、Kaazing WebSocket Gateway (HTML5 Edition)と呼ばれるようです。こちらもWebSocket Clientのライブラリからアクセスできますが、あらかじめ、Java, JavaScript, .Net, SilverLight, AIR, Flex, Flashなどのライブラリが用意されているようです。また、WebSocket以外にも、JMS, AMQP, XMPPもサポートしています。(ただし、WebSocketほどメジャーではないですが。)

以上がプッシュ通知のサービスですが、今後はBuddyなどのようにAPNS、GCM、WNSを連携するのみでなく、さらにWebSocketなどもサポートされていくのではないかと思います。

2012年11月20日火曜日

iOS デバイスへのプッシュ通知と node.js (プロバイダ編)

iOS デバイスへのプッシュ通知は、APNs (Apple Push Notification service) を使って実装できます。
加えて、配信するコンテンツを提供するサーバーも必要になります。
今回は、ちょうど使ってみたかった node.js で動かしてみます。

APNs の概要


全容を把握したい場合は、やっぱり公式のガイドがいいと思います。

 Local NotificationおよびPush Notificationプログラミングガイド

現時点では日本語版の方が古いということもなく、英語版の Local and Push Notification Programming Guide と同じ内容みたいですので、安心して日本語版を参照できますね。

APNs を利用したプッシュ通知を単純化すると以下のようになります。
(上記、公式ドキュメントからの引用です)


今回 node.js で作るのは、上図のプロバイダに相当するものです。


まずは iOS Provisioning Portal


APNs は実機でしか使えないので、Provisioning Portal で Provisioning Profile を用意します。手順は基本的に通常の iOS アプリ開発時と同じなので割愛。
ただし、App ID については2点ほど注意が必要です。

1. ワイルドカードを使っていない ID を作る
通常 AppID にはワイルドカードの指定が許されていますが、APNs を利用するアプリではワイルドカードは使用できません。

2. 1 の ID で APNs を有効にする
ID 作成後に、Configure から設定に入り、
Enable Push Notification service にチェックを入れて APNs を有効にした後に
証明書(Push SSL Certificate)を取得する必要があります。
証明書には、Development / Production の2つがありますが、今回は Development にします。


プロバイダを node.js で


簡単に APNs を利用できるモジュールがありますので、それを使います。

node-apn
 https://github.com/argon/node-apn

README がしっかりと用意されているので、そちらを読めば使い方は基本的な使い方は把握出来そうです。
READMEからポイントをいくつか転載。

インストールとコード内での利用
これはいつも通りです。
$ npm install apn
var apns = require('apn');

apns.Connection へ渡すオプションについて
デフォルトは以下のようになっています。
var options = {
    cert: 'cert.pem',                 /* Certificate file path */
    certData: null,                   /* String or Buffer containing certificate data, if supplied uses this instead of cert file path */
    key:  'key.pem',                  /* Key file path */
    keyData: null,                    /* String or Buffer containing key data, as certData */
    passphrase: null,                 /* A passphrase for the Key file */
    ca: null,                         /* String or Buffer of CA data to use for the TLS connection */
    gateway: 'gateway.push.apple.com',/* gateway address */
    port: 2195,                       /* gateway port */
    enhanced: true,                   /* enable enhanced format */
    errorCallback: undefined,         /* Callback when error occurs function(err,notification) */
    cacheLength: 100                  /* Number of notifications to cache for error purposes */
};

var apnsConnection = new apns.Connection(options);

  • cert, key には前節 App ID のところで取得した証明書を使う。
  • Development の Push SSL Certificate を使用する場合は、gateway の値を gateway.sandbox.push.apple.com に!
  • enhanced が true の場合、errorCallback が使用できます。(後述)

APNs の証明書
cert.pem, key.pem は以下のコマンドで作れます。

$ openssl x509 -in cert.cer -inform DER -outform PEM -out cert.pem
$ openssl pkcs12 -in key.p12 -out key.pem -nodes
コマンド中の2つのインプットは次のようにして用意します。
cert.cer ... Provisioning Portal の App ID のところで取得したもの(aps_development.cerとか)
key.p12 ... aps_development.cer をダブルクリック等でインストール後、
  Keychain Access.app を起動 -> My Certificates -> Apple Development iOS Push Services を選択 -> File メニューから Export Items を選択
 で取得できます。



errorCallback について
APNs のエラー応答については、前述の公式ドキュメントの「バイナリインターフェイスの形式と通知形式(p.50)」あたりに詳しいです。
node-apn では、オプションの enhanced が true の状態で
errorCallback に function(err, notification) {} を指定することで APNs からのエラーメッセージが拾えます。




feedback について
フィードバックの概要は、公式ドキュメントの「フィードバックサービス(p.55)」で。
var feedback = new apns.Feedback(options);
で簡単に使用できます。

var options = {
    cert: 'cert.pem',                   /* Certificate file */
    certData: null,                     /* Certificate file contents (String|Buffer) */
    key:  'key.pem',                    /* Key file */
    keyData: null,                      /* Key file contents (String|Buffer) */
    passphrase: null,                   /* A passphrase for the Key file */
    ca: null,                           /* Certificate authority data to pass to the TLS connection */
    address: 'feedback.push.apple.com', /* feedback address */
    port: 2196,                         /* feedback port */
    feedback: false,                    /* enable feedback service, set to callback */
    interval: 3600                      /* interval in seconds to connect to feedback service */
};

options も Connection と同じような感じですね。
address は、開発用を使っている場合は Connection と同じように feedback.sandbox.push.apple.com を使用します。
feedback にコールバックをセットするとインターバルの間隔で呼び出されます。この際、コールバックがとる引数は2つ、サーバーが返す time と デバイストークンを含む Buffer です。

debug モジュール
debug モジュール ( https://github.com/visionmedia/debug ) を導入するとデバッグメッセージを有効にできます。
npm install debug.

$ DEBUG=apn node apns.js
のようにすると APNs 接続に関するデバッグメッセージがコンソールに表示されます。
DEBUG=apnfb では、フィードバックに関するメッセージが出力されます。

token
デバイストークン。
長くなってきたので、これについては iOS 側の実装とともにまた次回の記事で。